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強い射手になるための食事



強い射手になるための食事 4/5
第4回 筋力アップの食事


管理栄養士  深川 史麻
(明治製菓 ザバス スポーツ&ニュートリション・ラボ、選手強化委員)


暑い夏が終わり、だんだん涼しくなってきましたね。身体づくりに最適なこの季節に「少しでも上達したい」「次の大会で勝ちたい」と、トレーニングに励んでいる方も多いと思います。


今よりも強くなるために、パワーアップし、安定感を身に付けたい。そのためには、身体作りが重要ですよね、そこで、まず身体を支える筋力アップがポイントの一つとなるでしょう。どうすれば効率良く、適度な筋肉をつけることができるのか、今回は"筋力アップの食事"について説明します、


1. 筋肉をつける方法


筋力アップするためには、それなりのウエイトトレーニングが必要です。ただし、トレーニングをしたらすぐに筋パワーや筋持久力が向上するわけではありません。実は、ウエイトトレーニングは負荷をかけて、筋肉を壊す作業です。そして休養を十分にとり、適切な栄養がしっかり補給できると、以前よりも強く太い筋肉に生まれ変わるのです。これを超回復といいます。この超回復が繰り返されることで、筋力アップできるのです(図1)。



ただし、筋力アップを可能にするには、トレーニングだけでなく、その他の必要な条件がきちんとそろった時だけです。どんなに正しくトレーニングしていても、休養が不十分だったり必要な栄養が不足していると、超回復できません。筋力アップも大変難しくなります。特に「栄養=筋肉の材料」はとても重要な条件です。


2. 筋肉の材料


「筋肉の材料」とは何でしょうか。筋肉は80%以上がタンパク質からできています。つまり、主な材料はタンパク質ということになります。では、どのくらいとれば良いのでしょうか。通常、特に運動をしていない人なら1日に60〜70g程度といわれています。体重lkgあたり約1.1gになります。ところが、ウエイトトレーニングに取り組み、筋力アップを目指す人にとっては十分ではありません。トレーニングで壊した筋肉の材料も摂らなければいけないので、一般人の2倍近く必要なのです。成長期の射手なら、さらに成長に必要な分をプラスして食べなければいけません。また、タンパク質の吸収は、トレーニングがハードであったり、ストレスがかかると吸収が悪くなってしまうので、それなりの量を食べなければ、間に合いません。


では、どのくらいとれば良いのでしょうか。

1日の体重1kgあたり、少なくとも1.5g以上のタンパク質が必要です。成長期の中学生・高校生なら、体重1kgあたり2〜2.5gとると良いでしょう。つまり、体重が70kgなら、1日に140〜175g必要ということになります。この量を食事でとりきるのは、かなり大変です。「自分は大食いだから大丈夫」と思っていませんか。たとえ、どんぶり飯を毎食2〜3杯食べていても、ご飯に含まれるタンパク質はわずかです。おかずや牛乳・乳製品をしっかり食べなければだめなのです。


ここで注意が必要です。単純に肉や魚を人の2倍食べれば良いわけではありません。肉や魚は高タンパク質食品ですが、同時に脂肪もたくさん含んでいます。例えば30gのタンパク質をとるとき、牛のサーロインは27g、マグロのトロは34.5gの脂肪が付いてきます。これらを脂肪の少ない部位に替えれば、赤肉赤身なら9g、マグロの赤身なら1.5gの脂肪ですむのです(図2)。つまり、余分な脂肪をとりすぎないよう、材料を良く吟味して欲しいのです。もちろん、脂身や鶏肉の皮を残すのも、良い方法ですね。


さらに、メンチカツやフライドチキン、ポークソテーなどの揚げ物・妙め物なら、より一層、高脂肪となってしまいます。脂肪のとりすぎはカロリーオーバーにつながりますから、筋肉ではなく体脂肪で体重を増やしてしまうことになりかねません。ですから、調理方法を選ぶことも重要です。ちなみに「煮る・蒸す・茄でる・網焼き」などの調理方法を選ぶと脂肪をカットできるので、おすすめです。


3. 上手な取り方・組み合わせ方


食事で、注意する点は材料と調理方法だけではありません。いつ、どのくらい食べるかという点も大変重要です。「朝食はトーストだけ、昼はざるそば、夕食に肉や魚をたっぷり」などという食事では、タンパク質の合計量が合格だったとしても、筋力アップにふさわしい食事ではありません。タンパク質は一度にたくさんとっても、すべてを吸収利用できるわけではないのです。過剰になった分は吸収できずに排泄されてしまったり、吸収できても余分なエネルギ一として、筋肉ではなく体脂肪になってしまうのです。せっかく食べた材料を無駄にしないためにも、できるだけ分けて食べるのが鉄則です。できれば、3回食にこだわらず、間食も利用するとよいでしょう。


では、何をどれだけとれば良いのでしょうか。
具体的に考えてみましょう。


ポイントは肉・魚・卵・大豆製品(豆腐・納豆など)の中から毎食2〜3品つけること。タンパク質の多い食品を積極的に組み合わせましょう。目玉焼きにハムステーキを添えてハムエッグにしたり、焼き魚に冷奴をプラスしたり。脂肪の少ない材料を使えば、これで1日合計約90gのタンパク質が確保できます。もちろん、ビタミンやミネラルが不足しないように、野菜料理と果物、牛乳・チーズを必ずつけましょう。


4. プロテインを賢く使う


毎食タンパク質の多いおかずを2品用意し、牛乳・チーズをプラスして、間食を取り入れても、とれるタンパク質は約90g。体重70kgの人の必要なタンパク質の2/3しかとれません。食品だけで必要なタンパク質をとりきるのは大変難しく、また、肉や魚の量を増やすと、脂肪もとりすぎてしまいがちです。


そこで脂肪を増やさずにタンパク質を補える、プロテインを利用してみても良いでしょう。牛乳コップ1杯に、カレースプーン山盛り2杯のプロテインを混ぜると、約18gのタンパク質がとれます。1日に3〜4回飲めば不足していた分がすべて補えるわけです。苦手な人はインスタントコーヒーを混ぜたり、果物と一緒にミキサーにかけるとおいしく飲めます。


ただし、プロテインという名前がついていても、タンパク質の含有量はそれぞれ違います。70%以上タンパク質がはいっているタイプをおすすめします。


さて、プロテインを“いつ”とれば効果的なのでしょうか?「筋トレの直前!」という人が多いのですが、それはちょっと違います。プロテインは胃で消化され、腸から吸収され、肝臓にアミノ酸としてため込まれます。このアミノ酸を材料にして、筋肉を造るのですから、直前にとったのでは遅いのです。また、胃の中に食物がある状態では、胃に不快感を与えることにもなります。そのため、消化時間を逆算する必要がありますね。どうしてもトレーニングのときにとりたい場合は、少なくとも始める1時間以上前に飲んでください。基本的には、食事の後にとるのが良いしょう。


5. 「継続は力なり」


トレーニングにしっかり取り組み、休養を適切にとり、栄養もバッチリ。だから、明日は筋肉ができている?残念ながら、身体の変化が目にみえてわかるのには、少なくとも1〜3ヶ月はかかります。1週間ぐらいでは結果が出ないのです。短い期間であきらめないで、続けてください。必ず、身体が変わってきます。