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強い射手になるための食事


強い射手になるための食事 3/5
第3回 夏ばて対策


管理栄養士  深川 史麻
(明治製菓 ザバス スポーツ&ニュートリション・ラボ、選手強化委員)


1. 夏バテはどうして起きる?


夏バテになる原因の多くは食事がきちんととれないこと。確かに、気温や湿度があがると食欲が落ちてしまいがちですね。じつは、気候が良いころに比べて、じめじめと蒸し暑くなってくると胃酸の分泌が少なくなってしまうのです。春・秋のすごしやすいころに比べれば、なんと半分くらいに減ってしまいます。胃酸の分泌が下がれば、消化能力も下がってしまい、この事だけでも食欲を落とす原因となるのです。


そしてひどく汗をかぐことも夏バテの原因になります。トレーニングをすることで体温が上昇するので、当然たくさん汗をかきます。また、射撃用のコートを着込めば、さらに汗をかくことになりますね。では、どのくらい汗をかくと思いますか。激しいトレーニングを行えば、1日に10ℓもの汗をかくことさえあるのです。また、汗をかくということは水分が出ていってしまうだけではありません。汗が蒸発するのにもエネルギーが使われます。汗をたくさんかけば、その分エネルギー消費が多くなるのですから、食事がきちんととれなければ、体力が落ち、バテてしまいます。


さらに、汗はただの水ではなく、カルシウムや鉄分、カリウム、ナトリウムなどのミネラルが含まれています。汗をたくさんかいたなら、これらのミネラルも不足しないように、ふだんよりもたっぷりとらなければいけません。汗1ℓに含まれるミネラルは表1の通りです。あなたはどのくらい汗をかいているでしょうか。汗の量がわかれば、水分やカルシウム、鉄分といったミネラルを、どのくらい補うべきなのかがわかります。ぜひ、練習の前後に体重を量ってみて下さい。マイナス分はほとんど汗ですから、もし練習後の体重が3kg減っていたら、3ℓの汗をかいたことになります。汗で失った水分やミネラルを、補いきれないような状態が続くと、間違いなく夏バテを起してしまいます。


2. 夏バテ予防の食事法


夏バテ防止には、水分以外にも、忘れてはいけない栄養素がいくつかあります。その筆頭がビタミンB1です。ビタミンBlは糖質がエネルギーになるときに使われますが、暑い季節になると体力を維持するために必要量が3倍にもなります。ビタミンB1が不足すると、エネルギーをうまく作ることができないため、集中力が落ちたり、体がだるくなったり、食欲が落ちたりします。そのためにもしっかりと、とらなければいけません。


また、体の抵抗力を高めてくれるビタミンAは夏バテしにくくしてくれますし、ストレスで消費が増えるビタミンCも暑ければ暑いほどたっぶり必要です。


ここで、夏バテしない食事のポイントを、いくつかご紹介しましょう。


(1) 豚肉やニンニクを積極的に食事に利用してみましょう。ビタミンB1が豊富に含まれるので、夏バテ防止に最高の組み合わせです。

(2) 牛乳を飲むようにしましょう。カルシウム&水分がとれるので、この時期には最適な飲み物です。

(3) そうめんや冷麦などは、食欲のないときにはおすすめです。野菜や肉などをそえて具だくさんにすれば、栄養バランスもしっかりとれます。

(4) 脂っこいものをとりすぎないこと。脂肪は消化に時間がかかり胃腸に負担をかけます。夏は胃酸の分泌がさがって、消化能力も落ちているので、消化しにくいものは余計に胃腸に負担をかけてしまうのです。

(5)香辛料や酢を取り入れましょう。図1にあるような、唐辛子などの香辛料や酢の働きで、胃酸の分泌も促されますし、何よりも食欲を増進してくれます。



3. 正しい水分補給


人問は、体重の半分以上が水ですが、体重の3%の水分が失われると運動能力が低下しますし、5%以上の水分が失われると脱水症状をおこしかねません。適切な水分補給が必要となります。水を飲むという、一見簡単そうなことにも、ルールがあります。


(1) 何を飲むか?

乾いた体にとって吸収の速い飲み物がベストです。一番吸収が速いのは"水"です。ただし、ひどく汗をかいたときに水ばかりとっていたのでは、ミネラルが不足してしまい、ひどい場合は熱痙攣をおこすこともあります。そこで、スポーッドリンクが必要となるのです。ところが、自動販売機で買えるようなスポーツドリンクは、糖分が6%も含まれています。


これでは、飲むときに甘すぎますし、吸収が遅くなってしまいます。吸収が最も速いのは2.5%以下のもの。ですから、スポーツドリンクを使うときは2〜3倍に薄めるのが正解なのです。もとから、吸収の速いハイポトニック(低浸透圧)のものなら、薄めずにそのまま使えます。


(2) いつ、どれだけ飲むか?

「のどが渇いている」という感覚は、脳で理解します。血液の水分が汗に使われてドロドロになると、「のどが渇いた」と思うのです。また、水分を補給して血液がサラサラになってから、「のどが潤った」と思うのです。つまり、水を飲んでも渇きがすぐにおさまるわけではないので、のどが渇いてから飲むのでは遅すぎるため、理想的なタイミングとは言えないのです。


渇いたと感じる前に、意識して早めに、そして、できるだけこまめに、とることが重要です、できれば10〜15分おきに給水タイムを作り、1回にとる量を100〜200ccまでにしましょう。どんなに吸収の速い水分でも、完全に胃を通過して、体内に吸収されるまでには時間がかかります。1度にコップ1杯以上は飲まないようにしてください。


(3) 温度について

温度の違いで吸収スピードも違ってきます。吸収が最も速いのは5〜15℃のもの。飲み物に氷を数個、浮かべた程度の温度です。適度に冷やしたものなら、体温を下げる助けにもなります。


4. 夏に勝て!


暑いときには食欲が落ちたり、やる気が出なかったりしますが、こんなときこそ差がつくのです。きちんと栄養を考えれば、夏バテを吹き飛ばすのは簡単です。夏に負けずに、頑張ってください!