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強い射手になるための食事



強い射手になるための食事 1/5 (2000/04-09)
第1回 スポーツ選手の食習慣と体調


管理栄養士  深川 史麻
(明治製菓 ザバス スポーツ&ニュートリション・ラボ、選手強化委員)


食事は身体にとって、必要な栄養を補給するもの。だから、毎日のとり方次第で、良くも悪くもなるのです。あなたのトレーニングの効率をあげて、より強い射手になっていただけるよう、これから一緒に食事方法について考えていきたいと思っています。


さて、あなたは今朝何を食べましたか?それは射撃をする人にふさわしい食事でしたか?


射撃が上達するために、トレーニングを重ねているわけですが、食事もトレーニングと同じように真剣に考えて食べているでしょうか。実は、トレーニングにも正しいやり方があるように、食事にも正しい食べ方があるのです。


たとえば、筋力アップのために、筋力トレーニングをします。しかし、トレーニングをガンガンしているだけでは筋肉は作れません。筋肉を効率よくつけるためには「よい材料」と「正しい食べ方」が必要なのです。“筋トレをいくらやっても筋肉がつかない”といっている人、「よい材料」を「正しい食べ方」でとっていますか。


また、ウエイトコントロールをするとき、減量希望だからとやみくもに食事を制限したり、増量希望だからと高エネルギーのものをとにかくたくさん食べてはいませんか。こんな食べかたでは、必要な筋肉を落としてしまったり、無駄な脂肪ばかり増やしてしまうことになりかねません。あなたの食べ方は大丈夫でしょうか。


さらに、疲れやすい、ケガをしやすい、スタミナがないなどの悩みはありませんか。これらも、食事が原因で起こることが多いのです。こんな悩みとお付き合いしないですむように「スポーツ選手に相応しい食べ方」を、ぜひ、マスターしてください。


そこで1回目の今回は、スポーツ選手の食習慣と体調の調査から、問題点を探ってみましょう。


1. 世代別にみる問題点


各世代のトップ選手の食事や体調に関する意識調査の結果を見てみましょう(図1)。体調面では「疲れやすい」「ストレスがたまっているように思う」といった選手が2〜3割もいますね。また、半分以上の選手が「膝や腰に痛みがある」と訴えています。体調をベストの状態に保つのは、なかなか大変なようです。



それに対して、食事面はどうなっているでしょうか。「ジュースや炭酸飲料を何度も飲む」選手や、「お腹がいっぱいになればよいという食事をしている」選手もいるようです。あまり、食事に対する意識が高くないことがわかります。


もちろん、食事に気をつけている選手もいて、「バランス良く食べる」という答えも多く見られました。それでは、この「バランス良く」とは、具体的にどのようなバランスのことでしょうか。糖質や脂質のバランス?朝・昼・晩のバランス?ビタミンやミネラルのバランス?エネルギー量のバランス?etc…いろいろなバランスがありますね。いったい、どのバランスが大切なのでしょうか。


実はすべてがとても重要で、どれ一つとってもおろそかにしてはいけないことなのです。英語の格言に“You are what you eat.”という言葉があります。直訳すれば、「あなたは、あなたが食べたものである。」となります。つまり、きちんとしたものをとらなけれぱ、きちんとした身体はできないし、いいかげんなもので済ましていたのでは、いいかげんな身体しかできないということ。あまり食事に興味がなかった方も、ぜひ今日から、食事内容を意識してみてください。


2. 食生活をとりまく環境


スポーツ選手の食事を考える前に、私たちの食環境を振り返ってみましょう(表1)。



飽食の時代と言われている現代は、野菜や果物の消費が低下し、油脂やインスタント食品の使用量が増えているようです。そのため、エネルギー量だけは確保できているのですが、その他の栄養素は不足してしまうという状態に、なりやすいようです。食に関する選択肢が増えているからこそ、自分に相応しいものを選ぶ眼(力)を、養いたいですね。


3. 現在の食事の栄養バランス


それでは、一般的なスポーツ選手はどれくらいの栄養が確保できているのでしょうか(図2)。


実線がスポーツ選手にとって必要な栄養量なのですが、残念ながら、どの栄養素も不足状態です。これでは、トレーニングをこなすことが精杯で、ベストな状態で試合に臨むのは無理というものです。


静的なスポーツでは、動的なスポーツに比べて消費エネルギーが少ないため、他の栄養素も少なくて良いように思われがちです。ところが、射撃というスポーツも、他のスポーツと同じく、色々な筋肉群を動かし、関節に負荷をかけることになるので、動的なスポーツ並みのビタミンやミネラルの確保が必要になります。通常、エネルギー量が増えると、それに含まれる栄養素の量も増えるので、逆にエネルギー量が少なくなると、必要な栄養素が不足してしまう危険があるのです。エネルギー量が少ない場合は、より注意が必要になるわけです。



4. 嫌いな食品


あなたは“好き嫌い”がありますか。もし、食事に嫌いな食品が含まれていたら、どうしますか。


さて、嫌いな食品についてのアンケートをみてみると(図3)、レバーや納豆、野菜類などの、ビタミン・ミネラルが豊富な食事ばかり、あがっています。好き嫌いがあることは、仕方がないと思いますが、大切なのはどのように対応するのかということです。


できれば、「嫌いなものでも食べる」のが一番です。


けれども、嫌いな食品を無理に食べることは、ストレスにもなるでしょう。そこで、食べずに残すのなら、その食品で取れるはずの栄養素を、他の食品やサプリメントを利用して、必ず補う工夫をしなくてはいけません。そのためにも、どのような栄養素がどのような食品に含まれるのか、日ごろから気にしておくと良いですね。


練習内容や体格が違えば、食事内容も一人一人違ってきます。それぞれにとって正しい食べ方があり、すべての人に共通ではありません。例えば、トップ選手と同じ食べ方をすることが、あなたにとって正しい食べ方とは限らないのです。どうぞ、これから「自分にとっての正しい食事」を研究して欲しいと思います。


今後は「効率良く筋肉をつけるには?」「試合期の食事のとり方は?」「効果的なサプリメントの使い方は?」、などなど、射手が得する食事の話をしていきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします、